1 施工日について

 基準法シックハウス対策は15年7月1日「着工分」からスタートする。6月30日までに着工した物件は、原則対象とならない。従来の基準法通りに建ててOKだ。
 どの段階からを「着工」と扱うかについては、国土交通省では「根切り」「基礎工事」を例に挙げるが、特定行政庁で解釈は異なる。地縄張りや整地段階でも着工にあたるかは、確認が必要だ。


2 型式適合認定

 建築基準法ではあらかじめ登録された「型式」に沿って建築する建築物については確認申請などの手続きを軽減する「型式適合認定」の制度を設けている。今回のシックハウス対策についてもこの制度が適用されることになった。

 具体的には、従来の型式適合認定にシックハウスの部分を「追加」するかたちとなる。このため、すでに型式適合認定を受けている住宅会社は最小限の手続きで済む。これらについては、7月1日のスタートまでに手続きが終了する見込みだが、新規で取得する場合は7月以降の受付になるようだ。

 また、換気設備についても、型式による認定(認証)が設けられた。換気メーカーの大半はこの認定(認証)を取るものと思われる。型式を取った換気設備については、後述する確認申請や中間・完了検査時の手続きが軽減される。

 いずれも受付窓口は、大臣に認定・認証された評価機関(建材試験センター、日本建築センターなど)。


3 申請・検査の手続き

 確認申請や検査の方法については、国交省でも完全につめきっていないようだが、現時点(4月20日)の情報を以下に整理した。
 なお、基準法シックハウス対策については、現行の4号建物の特例(建築士の設計にかかるものについて確認検査で単体規定の一部の検査を不要とする)が適用されず、現場検査が実施されるようだ。

(1)確認申請

●使用建築材料表
確認申請でまず変わるのは、「使用建築材料表」を申請に添付する点。「使用建築材料表」とは、「居室」   について、@内装仕上げ材に使う建材の種別(F+☆マークの等級表示)、A使用する部分、Bその面積、を部屋ごとに記載するもの。書式や表現方法のフォーマットは現時点では示されておらず、基本的には自由なスタイルでいいようだ。
●設備の種類
第2号様式の第4面【8.建築設備の種類】に添付する別紙に、「居室」ごとに以下の事項を記載する。
@第1種換気、第2種換気、第3種換気のどれかを使っているか。
A換気設備の換気回数(0.7回/h以上、0.5回/h以上0.7回/h未満)

 確認申請段階では、換気設備の機種や構造は問われない。また、同じ場所に「天井裏等」の部分ごとに、構造方法に関する事項を記載する。


(2)中間・完了検査

●写真の添付
 内装仕上げ材の主要な部分ごとに、取り付け工事の終了時点でその部分を撮影し、申請書に添付する。
●内装仕上げ材の明記
 申請書第4面【工事監理の状況】の表に、内装仕上げの部分ごとに、すべての内装仕上げ材の種別、種類、数量、面積を記載。また、確認に要した表示書類等(JIS・JASの表示または大臣認定の写し等)を添付する。
●換気の構造
 申請書第4面【工事監理の状況】の表に、構造方法に関する事項を記載する。具体的に照合される内容は、形状・寸法・規格・換気風量など。照合する際に使う設計図書としては、構図オ詳細図・圧力損失計算書・矩形図などがあげられている。
●天井裏等
 「天井裏等」に換気設備を設けない場合は、「天井裏等」ごとに、使った建材の種別・種類・数量・確認に要した表示または書類を記載する。


4 規制対象となる場所

 基準法シックハウス対策の規制対象となるのは、「居室」と「天井裏等」だが、その区別を整理する。
 基本的には、「扉に通気性があるか」「換気経路として意図したか」によって、廊下や納戸などの扱いが変わる。「換気経路として意図した」=通気のある場合は、廊下も収納も「居室」扱い。「換気経路として意図しない」=通気のない廊下は「対象外空間」扱い、通気のない収納は「天井裏等」扱いとなる。

A.居室

 「居室」に該当し、換気設備の設置が義務化され内装仕上げ材の規制がかかるのは[表1]の通り。
[表1]「居室」に該当する場所
@ 居室、寝室、子供室、台所、書斎など
A 常時解放された開口部で「居室」に接する廊下、納戸、ウォークインクローゼット
B ガラリやアンダーカットのある開き戸、折れ戸、引き戸で居室室と仕切られ、換気経路となっている廊下
C 居室からの排気をトイレ、浴室等からまとめて排気する場合のトイレ、浴室
D ガラリやアンダーカットのある開き戸、折れ戸、引き戸で居室室と仕切られ、換気経路となっている納戸、ウォークインクローゼット(換気経路のみの場合は「天井裏等」)
E ガラリ等のついたふすまなどで居室と積極的に通気をはかっている押入れ


B.天井裏等

 「天井裏等」に該当し、下地材(表面材)や換気の規制がかかる場所は[表2]の通り。ただし、居室との間が「気密材」で遮断されている場合は、「天井裏等」とはされず、規制はかからない。
[表2]「天井裏等」に該当する場所
@ 居室に隣接する天井裏、屋根裏(小屋裏)、床裏(床下)、外壁内部、間仕切り内部、物置などで居室との間に「気密層」をもたない場合
A 開き戸、折れ戸、引き戸で居室と仕切られ、換気経路となっていない納戸、ウォークインクローゼット
B 屋根裏収納、造りつけ収納、床下収納、通常のふすまで仕切られた押入れ等
C 居室に設けられる収納スペース(押入れ、造りつけ収納、小屋裏収納、床下収納、納戸ウォークインクローゼット等)の内部仕上げ
D 室内に直接面するボード類・壁紙などの透過性の材料を貼ったボード類の裏側に貼られたボード類
E 室内に直接面するボード類・壁紙などの透過性の材料を貼ったボード類の裏側に塗られた接着剤


C.対象外空間

 「居室」にも「天井裏等」にも該当しない「対象外空間」は[表3]の通り。これらは、内装材の制限、換気の義務化の規制を受けない。
[表3]規制対象外となる場所
@ トイレ、洗面所、浴室、シャワー室などで居室として接していないか、居室と接していても通気性のない壁や扉で遮断されている場合
A 開き戸、折れ戸、引き戸で居室と仕切られ、換気経路となっていない廊下
B 気密層で居室との間で遮断した天井裏、屋根裏、床下、外壁
C 通気止めや気密層で居室との間を遮断した間仕切り壁



5 内装仕上げ材の範囲

 内装仕上げ材として面積制限対象となるのは、壁、床、天井、屋根、建具などのうち居室の室内に面する「面的な部分」。
 基本的に柱等の軸材は対象外だが、柱等の軸材の露出する部分(あらわし部分)の面積が室内に面する部分の面積の1/10を超える場合は、「面的な部分」とみなされ規制対象とされる。集成材やLVLをあらわしで使う場合は注意が必要。
 [表4]にボーダーラインの部分をまとめた。

[表4]内装仕上げ材の規制対象範囲
●規制対象外 廻り縁、窓台、幅木、手すり、鴨居、敷居、長押等の造作部分・建具枠
軸材(軸状の部分)
部品・設備の見付面積が1/10に満たない部分
部品・設備の木口(建具・扉などの稼動部分については稼動部分ごとに判断)
部品・設備の芯材など居室に面さない部分
部分的に用いる塗料・接着剤
部品・設備の内部の天板、側板、底板、棚板等で固定されている主要な面材
●規制対象 壁、床、天井、屋根、建具などの面的な部分
あらわしで使った軸材で、露出面積が室内に面する部分の1/10を超えた場合
造りつけ家具や建具の枠等で、見付面積が1/10を超える部分
「透過性」(通気性)のある材料を貼ったボード類。「透過性」のある材料には、壁紙やカーペットなどが該当


6 ホルム発散建築材料の扱い

 「ホルムアルデヒド発散建築材料」(以降:ホルム発散材料)の対象とされた資材については、JIS・JASもしくは大臣認定をとる必要がある(4月10日号参照)。ただし、国土交通省では、すでにJIS・JASが設けられている資材については、原則JIS・JASをとるよう指導しており、輸入資材を中心に混乱が生じている。

 輸入資材の場合、大臣認定で対応しようとしていたメーカーが多かったが、基材などがJIS・JASの対象となっている場合は、まず基材としてJIS・JASをとる必要がでてきた。このため、すでに大臣認定をとるべく評価機関に出している資材についても、差し戻しされる可能性がある。評価機関も混乱しており、輸入資材の一部については7月1日施行に間に合うか微妙な状況になってきた。

 ホルム発散材料に挙げられていない資材は、内装仕上げ材の面積制限対象にはならないが、扱いがグレーゾーンのものも多い。例えばコルクフローリングは、「その他の木質建材」の対象となる可能性があるが、メーカーでは「国交省からの明確な回答がない」といい、対応に苦慮している。

 国交省が、明らかに「規制対象外の内装仕上げ材」として挙げているのは[表5]の通り。ムク材は規制対象外のため制限を気にすることなく使うことができる。

[表5]規制対象外の内装仕上げ材(例)
●金属類:アルミ板、銅板、ステンレス板、ホーロー鉄板
●コンクリート類:コンクリート、モルタル、コンクリートブロック
●天然石材:ガラス、タイル、レンガ
●無機系塗材:しっくい、プラスター
●ムク材:全無垢、縦継ぎの板材(面的に接着して板状に接着したものではないもの)
●ボード類:木質系セメント板、パルプセメント板、石こうボード、ケイカル板、ロックウール吸音板、インシュレーションボード、ハードボード、火山性ガラス質複層板など
●化粧材:印刷紙、オレフィンシート、突板、塩ビシート、高圧メラミン樹脂板
●塗料:告示対象以外のもの
●接着剤:告示対象以外のもの
●仕上げ塗材:告示対象以外のもの


7  天井裏等の対策

 「天井裏等」に該当する場所[4参照]については、表面材(下地材または仕上げ材)にF☆☆☆☆、F☆☆☆相当の建材を使う必要がある。F☆☆、F☆相当の建材を使う場合は、機械換気設備を設置する。
 ただし、「居室」と「天井裏等」の間に「気密層」または「通気止め」を設けた場合は、「天井裏等」は規制対象外となり、これらの規制はかからない。

 ここでいう「気密層」は[表6]の通り(省エネ基準と同様)。
 また、間仕切り壁、外壁などでも、これらの気密材またはそれと同等以上の気密性をもつ材料(石膏ボードを含む)で、居室との間に通気止めを行えば規制対象外となる。

[表6]気密層(材)に該当するもの
@ 厚さ1ミリ以上の住宅用プラスチック系防湿フィルム
A 透湿防水シート
B 合板など
C 吹きつけ硬質ウレタンフォーム断熱材
D 乾燥木材(重量含水率20%以下の木材、集成材、積層材など)
E 鋼製部材
F コンクリート部材

[表7]気密層・通気止めと「天井裏等」の扱い例
例1
外周に気密層を取り、間仕切りに通気止めを使用した場合
1階天井だけが「天井裏等」、他は規制対象外に
例2
気密層を外周だけに回した場合
屋根裏と床下と外壁は規制対象外、1階の天井と間仕切りが「天井裏等」に
例3
外壁・間仕切りの面材と上下に通気止めを使用した場合
外壁と間仕切り壁の内部は規制対象外、他は「天井裏等」に
例4
気密層を使用しない工法の場合
屋根裏も天井裏等も床下も壁の中もすべて「天井裏等」になり、規制対象に
  *通気止め=面材は[表6]@〜Fの建築材料または石膏ボード、上下は合板等を使用の場合。