なぜ、原則すべての居室に機械換気を義務づける必要があるのか。無垢材だけで建てた低気密の自然素材の家には機械換気など必要ないのではないか−。
こうした疑問に対する国交省の回答は
「内装仕上げ材にホルムアルデヒドを発散する建材を使わない場合でも、家具などからホルムが出る可能性があるから」というものだ。
確かにホルムアルデヒドは、家具からはもちろん、日用品などから発散する可能性がある。さらに言えば、無垢材からも出る。これから出るホルムの問題を解決しないと、シックハウス問題は根本的に解決しない。
また、建材レベルで使用が規制された科学物質はホルムアルデヒドとクロルピリホスのふたつ。機械換気を義務づけることで、今回規制対象外となったトルエンやキシレンなど他の化学物質の除去も期待できる。
こうしてみると、基準法シックハウス対策を、換気について考えるいい機会ととらえるほうが建設的だ。重要なのは、シックハウスに苦しむ住まい手をこれ以上増やさないことで、単に法律をクリアすることではない。
ただし、以下に限っては、機械換気の設置義務化が除外される。
@隙間(すきま)と常時開口部の合計が15cm2/m2以上
A合板等をめんざいに使わない真壁構造で木製建具を使った伝統工法住宅
B「ホルム発散による衛生上の支障がないようにするために必要な換気を確保できる居室」として大臣認定を受けたもの
@でいう常時開口部は、「常に外気に開放されていて閉じることができない」ものを指す。@の具体例としては、「スポーツ練習場」などが挙げられており、一般住宅は想定されていない。ただし、意図的に隙間を設けて15cm2/m2に足りない分を換気口で補う、といった方法も理論的には可能だ。ただそれを、建築主事にどう説明するか、主事がそれを認めるかどうかは、まだ不透明だ。
Aでいう合板等には、合板、MDF,パーティクルボードなどのボード類が該当する。また、現在普及している「木製サッシ」は、ここでいう木製建具に該当しない。
B大臣認定についてはその評価基準が示されている。申請に手間とコストがかかるが、「大臣認定を受けたシックハウス対策住宅」をアピールする手段としては有効だといえる。
また、大臣認定をとった自然換気(パッシブ換気)システムを使う場合は、機械換気とする必要がない。逆にいえば、自然換気システムは大臣認定をとらなければ、使えない。大臣認定の基準等については、現時点(4月30日)では公表されていない。
基準法シックハウス対策では、「0.5回/h(時)」以上の換気量を確保することが義務づけられた。求められるのは、この基準値をクリアすることで、機械換気の仕様と方法については大まかにしか示されていない。
「0.5回/h」とは、2時間で建物全体の空気が1回入れ替わる換気量をいう。
内装仕上げ材にF☆☆☆やF☆☆の建材を多く使ってコストダウンしたいという場合は、さらに換気量が多い0.7回/hを選ぶことができる。ただし、換気量を多くとるほど吹き出し口からの風を感じるようになるので、住まいに手によく説明し、了解を得ておく必要がある。
確認申請や検査の方法については、国交省でも完全につめきっていないようだが、現時点(4月20日)の情報を以下に整理した。
なお、基準法シックハウス対策については、現行の4号建物の特例(建築士の設計にかかるものについて確認検査で単体規定の一部の検査を不要とする)が適用されず、現場検査が実施されるようだ。
国土交通省が示す換気計画の流れはフロー図【下】の通り。居室ごとに「必要有効換気量」を計算で求め、この換気量をクリアできる換気設備を選ぶことが基本となる。
1.必要換気量の計算
必要有効換気量の計算方法は【下】の通り。換気回数は、前述したように原則0.5回/hで計算する。
ここでいう「居室」の定義は、【第2回】で示した。居室と隣り合う廊下やホール、納戸は、アンダーカットなど「通気性のある扉」で仕切られていれば居室となる。この場合、居室の床面積にこれらの床面積を足して計算する。トイレ、洗面所、浴室は局所換気されていれば、対象外空間となる。
住宅全体にダクトを回すいわゆる「セントラル換気システム」の場合は、まず各居室ごとに必要有効換気量を計算し、それを足して住宅全体の必要有効換気量を求める。次にこの換気量をクリアできるセントラル換気システムを選べばいい。
2.機械換気の選び方
機械換気設備の仕様については告示が出されているが、現在発売されている第1種・2種・3種の換気設備を使えば基本的に問題ない。
ただし、
@0.5回/h以上の換気能力をもつこと
A常時連続して運転できること
B換気経路の全圧力損失を考慮した計算によって換気能力が確かめられていること
などの条件をメーカーに確認する必要がある。
メーカーも今後は、カタログに「基準法シックハウス対策対応品」「シックハウス対策対応8畳用換気システム」といった表示を行うとみられ、これを参考に選べばいい。
また、機械換気設備には、【第2回】で触れた「型式適合認定」制度が新設されている。型式認定を取った機械換気設備については、確認申請の手続きが軽減されるため、型式認定をを使うのが一番手っ取り早い。ただし、型式認定は安全率をみているため、本来の性能より低めの性能で認定されることが多い。このため、コストアップにつながる可能性があり、確認が必要だ。
また、メーカーではシックハウス対策に関する総合窓口やサポートセンターを設けており、ここで相談を受けることができる。
機械換気といっても、ダクト式の「セントラルタイプ」だけを指すわけではなく、キッチンや浴室の局所換気を常時運転にし、各部屋にアンダーカットを設けることでも対応できる。
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